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銀次の暇つぶし3 ~魔法使いの俺様と魔方使いのテメェ |
「だ、だめですぅ。」 ばたっ、とレナがつっぷし、夏実を目をぐるぐるにさせている。波児はタバコを咥えつつ、じーっと3×3の升目を見ているだけだった。 「うっス。ブルマン。」 今日は珍しく蛮が先に来た。 「おぅ、…銀次は?」 「タバコ買いに行かせてる。」 そりゃまた、と波児がつぶやく間に「ブルマン、ツケで。」と蛮は言いつつカウンターに座る。 「あ、蛮さんが来た♪」 レナと夏実が紙を手にしてうんうん、と頷きあわすと、一枚の紙を差し出す。 「この問題、分かります?」 書き写してある、3×3の升目の、それ。 「あ?誰に向かって話しかけてんだ?」 波児、シャーペン、と言って借りると、すらすらと書いてしまった。 「うわぁ、すごい!」 二人、拍手。 「こんな数字はフェイクだ。3方の魔方陣は一つしかねぇ。」 816 357 492 「まほうじん?」 二人がうきゅ?と頭を斜めに傾ける。 「同じ数の升目…要は正方形だな。その升目縦横斜めの列でも合計が同じものになんのが魔方陣だ。」 ぷはーっとタバコの煙を吐きながら蛮が答える。 「ならこれはどうだ?」 内心の焦りをひた隠しにしながら波児がそれをみせる。 「ああン?」 蛮は嫌そうにその紙を見る。 「このマスの中に、0から9までのどの数でもいいから数字をいれる。」 「ふん。」 ぷいっとそっぽを向く。仕方ない、と波児は奥の手を出す。 「コーヒー奢りにするぞ。」 「…で?」 くるりと升目を見る。やれやれとため息をつきながら波児が続ける。 「それが縦横斜の積が一緒になるのを作る。で、その積の中で一番少ない数を答えるのが問題だ。」 波児はまず銀次語を訳すのにまる1日かかった。そして諦めた。 よろず屋だって分からないことくらいあるわい。 もう少しで奥に隠してある日本酒でクダ巻きそうになったのは内緒。 そうとも知らずに考える蛮。さて、答えは出るのか。 「216だな。」 あっさり。 はい?とカウンター3人が蛮を見る。 「これも魔方陣を代入すると簡単だ。」 蛮はとなりにもう一つ、3×3の升目を作る。 「0~9なんて言葉を使うから頭がややこしくなる。0.1.2で考えればいい。」 さらさらと蛮は書いていく。 「この時、縦、横、斜めの数字に注意しながら、ラテン方陣を二つ作る。組み合わせにも注意を払って、組み合わせが違うようにして、掛け合わせたら、自然答えが出てくる。」 120 201 012 × 012 201 120 「ってなわけで、(2×3)3=63=216というわけだ。」 ぽかーん、と三人は蛮を見ていた。マホージン、ラテン方陣、ナニソレ。 「ま、俺様レベルでは赤子の手をひねる程度ってことよ。」 ほれ、さっさとブルマン、と蛮は言った。何かがからむとこいつは途端に天狗になる。 どこまで伸びる鼻をへし折れるか。 銀次を使って、しばらく遊んでみようと波児は思った。 |
波児さん、遊ぶんですか?
あたしゃ頭痛いですよ。
次かその次に意外な方が登場(予定)。