「うぉい!銀次!」

 ぱっかーん!

 叩かれた自分でも「あ、ちょっといい音だな。」と思ってしまうくらいのいい音。…でも痛いものは痛い。
「痛いよー、蛮ちゃん。」
 ぶーぶー言うとまた拳が降ってきます。痛いっ!痛いってば!
「もう夜だぞ?」
「そーゆー蛮ちゃんも手ぶらだよ?」

 また拳ふるう!

「こすめちっく・ばいおれっとだよ!蛮ちゃん!」
 ちょっとそこで動きが止まる蛮ちゃん。ややあって、蹴りが入ってきました。うわっ!危ないって!
「それ言うならドメスティック・バイオレンスだ!中途半端に覚えるんじゃねぇ!このタコ!」

 うう、ひどいです。ひどすぎます。

 やはり、ここはタレと雷帝が相談していたことを実行すべきでしょうか?

 うーん。

 とりあえず、明日はお馬さんらしいので、それで完全に負けたらそうしようと思います。
「行くぞ!銀次!」
「うん!蛮ちゃん!」
 競馬新聞片手の蛮ちゃんと、手ぶらな俺が向かう先は…てんとう虫くん。あ、車の中もダメだね。てんとう虫くんは、手入れも重要ですが、俺が常時いても大丈夫な車だそうです。「おーとましゃ」とかいうやつは、俺が電撃を車の近くで放つと一発でオシャカになるそうです。だから気をつけてます。「かーなび」?もダメだそうです。
 難しいことは色々あります。でも一番良くわかっているのは…

「蛮ちゃーん。おなかすいた。」
「うるへー。」

 おなかがすいたことでしょうか?晩ご飯はうたた寝する前に食べたマックの「チーズバーガー」1コだけです。100円しかくれなかったんです。…ピクルス、あんまし好きじゃないけど、食べられる時に食べておかないと、電撃がでませんから。
 明日、マクベスに連絡しておこう。無限城から電気がいくかもしれないってね♪

「おやすみなさい。」
 毛布にくるまって、目を閉じると、ぐっすりと寝ている二人が見えます。俺もあの中に入ろうと思います。

 それでは、おやすみなさい。

 蛮ちゃんも。

 タレも、雷帝も。

 良い夢を…。


タイトルは「母と子のテレビ絵本」より。
読み返すとすげー話です。
競馬場で血液を凝固させた蛮ちゃんがいませんように…。

ぶらうざばっくぷりーず。